Optimising corporate treasury in India’s new norm
Digitalisation, supply-chain financing and liquidity management are key issues corporate treasurers must tackle in a post Covid-19 world.
国内またはグローバルな財務に新しいプロセスやテクノロジーを導入するには、現地の習慣や規制要求事項への理解が不可欠となる。 最近の日本、インド、中国における発展は財務担当者たちにとって、旧来のシステムやプロセスを再検討し、大幅に見直す機会となっている。
新型ウイルス感染症のパンデミックによって、紙からデジタルへの移行が促進されるにつれ、アジアでも様々な市場で変革が進んでいる。会社の実印のような、長年にわたる日本企業の商習慣が、デジタル署名によって徐々に取って代わられようとしている。
企業の実印は、誰もが自宅でのテレワークを要請されるような、2021年現在の世界の風潮に合わなくなっています。
BNPパリバ銀行東京支店 トランザクション・バンキング本部長 長谷川真琴氏
日本では会社の書類の末尾に手書きのサインでなく、朱色のスタンプを捺すのが常識であった。いわゆる「ハンコ」、印鑑はいずれも手彫りのもので、法務局に登録されたものである。各企業は、それを使用できる者を厳密なプロセスで決め、施錠した金庫で保管するのが常だ。 BNPパリバ銀行東京支店でトランザクション・バンキング本部長を務める長谷川真琴氏は「企業の実印は、誰もが自宅でのテレワークを要請されるような、2021年現在の世界の風潮に合わなくなっています。」と言っている。
脱ハンコに向けて、日本では解決策の模索や、手続きの改善が求められている。2020年10月には菅・元首相が各閣僚に政府の行政文書からハンコを撤廃すべく計画を立てるように命じた。民間企業でも多くが捺印手続きを廃止することを決定している。長谷川氏によると、第一段階は、法的に会社の実印を捺す必要のない文書に関しては電子署名を採用することだという。例えば、預金の払い戻し請求や貸付金のロールオーバーなど、すでに実印の捺された元々の紙の文書がファイルに残っているものは、今後、企業から希望があれば捺印を必要としなくなる。貿易金融の保証状、定期預金や残高確認書の発行依頼など、その他の取引指示でも銀行はEメールまたはデジタル署名を受け入れることになった。「こうした動きよってコロナ禍の財務担当者も在宅勤務が可能となり、業務効率も改善されます。私たちはお客様にソリューションを提供したのです。」と長谷川氏はコメントしている。
パンデミックは大きな変革をもたらす機会となっており、同時にハンコもまた姿を消しつつある。長谷川氏は、各企業は今まさにこうした転換に備えるべきと語り、「デジタル署名を受け入れている銀行と、体制的に未だ受け入れられない銀行とで差が出てきています。いずれデジタル化に移行するのであれば、企業は既にデジタル署名を受け入れている銀行との取引を検討していくべきです。」と、アジア圏の財務担当者たちに向けて提案している。
アジアでこれまで紙の文書に大きく頼っていたのは日本ばかりではない。 インドの財務担当者たちの多くもパンデミックによってさらなるデジタル化へ向けて拍車をかけられている。 BNPパリバ銀行インド・トランザクション・バンキング本部長ルパ・バルセカール氏はこの転換について、「これまでに紙ベースでの取引があり、以前からデジタル化するか決めかねていたようなお客様は、現在ではデジタル化へと鞍替えしています。」とコメントし、「財務担当者にとって、デジタル化は優先事項の三本の指に入っています。お客様は、今後さらに自宅へのテレワークが普及すると認識しています。」と語る。
パンデミックによって、インドの財務担当者にさらなるデジタル化の拍車がかかっています。財務担当者にとって、デジタル化は優先事項の三本の指に入っています。お客様は、今後さらに自宅へのテレワークが普及すると認識しています。
BNPパリバ銀行インド トランザクション・バンキング本部長 ルパ・バルセカール氏
インドは規制の厳しい市場であり、例えば貿易取引には山のような書類が求められる。手続きの効率化を図るためにBNPパリバ銀行が開発したオンラインのソリューション「ドキュメント・エクスチェンジ・コネクト(DEC)」に、この1年で多くの顧客が導入している。このオンラインのプラットフォーム、コミュニケーションツールは、これまで21タイプ以上の貿易取引をデジタル化してきた。今では企業の財務担当者も Eメールや電話、紙業務にありがちな手作業に煩わされることなく、効率的に貿易取引を行えるようになっている。
相当の手作業が必要とされてきた受け取りの照会手続きにおいても、彼らはデジタル化を図ろうとしている。バルセカール 氏は、多くの財務担当者が送金の振出人の判別に役立つと、バーチャルのアカウントソリューションを導入しているという。多額の取引のある企業であれば、電子請求(EIPP)ソリューションを導入してもいいだろう。高度な文字認識機能(ACR)は人工知能や機械学習機能を兼ね備え、24時間年中無休で対応できるEIPP自動照会システムを実現させた。「企業のニーズを汲み取り、業務の効率化をサポートすることで、インドにまた新たなゲームチェンジャーが現れたと言っても過言ではありません。」と、バルセカール氏は言う。
インドにおけるデジタル化は「持続可能性」というもうひとつの重要な優先事項にも沿っている。大量の紙資源がシステムから無くなることで、環境にとっても大きな助けとなるからだ。
アジアで、長年にわたり自国の決済の電子化にむけた取り組みを続けてきたもうひとつの市場が中国だ。「デジタル化にかけては、これまでアリペイ(支付宝)やウィーチャットペイ(微信支付)といった国内の電子決済サービスが群を抜いていました。そして現在、この地域は国際取引に向けて破壊的な変革を迫られています。」と BNPパリバ銀行中国トランザクション・バンキング本部長であるルイーズ・チャン氏は説明する。国際的な人民元の流通の簡素化について、中国の規制当局は近年いくつかのガイドラインを示してきた。それはまた、国際決済に関係する書類をよりシンプルでデジタル化されたプロセスにすること、つまり書類フォーマットの電子化を伴ってきた。
貿易の国際決済はまだ完全に合理化されたとは言えないものの、各企業は一本化された中国国際貿易「単一窓口」を介して通関申請を行え、紙ベースの手続きを省けるようになった。「BNPパリバは中国市場に注力しており、企業取引の合理化のため最新のテクノロジーを提供しています。」とチャン氏は言う。
BNPパリバは、お客様への業務改善提案を通じて、キャッシュマネージメントの仕組みそのものを根本から見直すサポートをさせていただきます。私たちはお客様の助言役。テクノロジーを導入するのは簡単ですが、業務の流れやプロセスを上手く調整していくことが大切です。
BNPパリバ銀行中国 トランザクション・バンキング本部長 ルイーズ・チャン氏
しかし、チャン氏はまた、こうした取り組みが財務担当者への単なる技術的なツールや製品の提供に留まらない点も強調している。「お客様への業務改善提案を通じて、キャッシュマネージメントの仕組みそのものを根本から見直すサポートをさせていただきます。私たちはお客様の助言役。テクノロジーを導入するのは簡単ですが、業務の流れやプロセスを上手く調整していくことが大切です。」と付け加えている。
Digitalisation, supply-chain financing and liquidity management are key issues corporate treasurers must tackle in a post Covid-19 world.